古田土義裕（こだとよしひろ）代表取締役＠ZeroOneWorks株式会社

また「呼びたい！」と思ってもらえるコンサルタント―
やりたいことがそこにある。

安定した大学病院勤務から一転、起業

弊社は医療分野やヘルスケア事業のITコンサルタントを行っています。病院様がメーカーの情報システム製品を導入した際、その価値を最大限甘受できるように、システム構築や選定、導入、運用にかかるまでご支援しています。また、一般の事業会社様に対してヘルスケア分野の営業戦略や製品開発、事業計画策定などのご支援も行っています。自分では“コンサルタント”より“コーディネーター”というほうが好きなので、ITコーディネーターって言っています。最近ではヘルスケア分野に関わらないご相談も増えてきていますね。

この仕事を始めてこの秋で丸10年になります。それまでは20年ほど大学病院の情報システム課の職員として勤務していました。起業したきっかけなんですが、1990年代半ばから病院の経営改善という大規模なプロジェクトを10年くらいかけてやることになり、その一環として病院建設や業務設計の見直しに着手したんです。そこに情報システムの構築担当者としてアサインされたのですが、この仕事がとても楽しくて。いいリーダーに恵まれたのもありますが、それまではシステムの一調整担当者だったのが、経営だったり、建築だったり、色々な業務に携わらせてもらうことになった。結果としてプロジェクトは大成功、やり終わったときの達成感は忘れられません。

しかし、それが終わった後、やることが無くなってしまった感覚を覚えてしまったんですね。大学っていう組織は一般的な企業と違って競争原理が働きにくいところがあり、半官半民という雰囲気なんです。このまま定年まで勤務していたら生活は安定するけれど、今まで自分が得た経験や知識をもっと世の中で役立てたい、と思っちゃった（笑）それまで一緒にプロジェクトに関わってくれた仲間も「一緒に仕事をしよう！」と申し出てくれて、「大学に残る」という選択肢が自分の中から消えてしまったんです。

とは言え起業した当初は苦労しましたね。大学病院は事業会社のルールとか競争とかと無縁の環境だったので、その文化の違いに戸惑いました。お客様に良かれと思ってやったことが良くなかったり・・・勘違いしたりして・・・5年くらい厳しかったかな。今ではいい経験ですが。社会を知らないから起業できたっていうのもあるかな（笑）

お客様内部の納得感を醸成するプロフェッショナル

コンサルタントの仕事を請ける上で大切にしていることは、ご依頼いただいた以上は最後までやりきるということですね。例えば病院側の要望を聞いて「ベンダーを選定して完了」という仕事でビジョンを貫徹させることは難しく、実際そう思える事例が多いと思っています。弊社は大学病院で働いていた経験もあって、現場との肌感の擦り合わせを重要視しています。お客様の「どうしたいのか？」というヒアリング一点一様をカスタマイズしてシステム選定から運用まで支援する。情報システムの知識だけではなく、病院独自の文化や医療の歴史を踏まえて現場の納得感を醸成する、ということができるのは弊社の強みだと思ってます。

なかなか病院勤務経験のあるコンサルタントっていないんです。現場にいたからこそわかることってありますからね。経営側の意向から現場の運用まで一貫性をもって提案することは、医療業界で育ててもらった恩を返さないといけないという意識と、プロとしての品質保証でもあるんです。

“自分にしかやれない仕事”がそこにある

最初は医療システムの分野からスタートしましたが、現在医療系に関わらず経営に関するコンサルタントという事業を展開できているのは、色々な業界の人たちと知り合うチャンスに恵まれたからなんです。僕はそういうところで運が強い。僕がうっかり疎遠にしてしまう「人付き合い」を繋いでくれるビジネスパートナーもいるしね。ほんとに色々な人に支えてもらっています。

弊社は「業務を定番化しない」っていうところを大事にしています。信頼してくれたお客様には夜中まで考えに考えて資料を作る。全部オーダーメイドです。考え方を理解していただき、それに共鳴してくれるお客様を全力で助けたい。そこにこだわっていられるのはそこに”想い”があるからです。だから逆に会社を大きくしたいっていうのも無い。コアな部分を共有してくれるパートナーじゃないと大事な仕事は任せられないし、自分の想いと違うことをお客様に伝えてほしくない。今は二人でやっていますが、僕たちが辞めるってなったら事業も終わり。それでいいんです。

だから経営理念とか、そういうのは考えたことがない。でも“自分にしかやれない仕事”がそこにある。また呼びたいって思ってもらえるように頑張ってます。

いつまでも周りの信頼を肌で感じていたいし、それで「ありがとう」って言ってもらえるのが何より嬉しいですね。