有限会社ボンズシステムの早川真澄社長

人間万事塞翁が馬。
人生は何が起こるか予測できないけれど、変化を楽しみながら受け入れていきたい。

先代の急逝から一転

有限会社ボンズシステムは2003年2月7日に田中高彦が設立しました。ボンズは”絆”。ITによって人と人、人と企業、企業と企業の繋がりをサポートするという意味が込められています。

一社一社とのお付き合いを大事に、ソフトウェアの設計や開発や保守管理、Webサイトの企画やデザインなどを行ってきました。技術者だった私はお客様が喜んでくださることをモチベーションに設立時からボンズシステムの一員として頑張ってきました。状況が一変したのは2016年。先代の社長が急逝し、私が代表取締役社長に就任することになったのです。

技術者だった私が会社を継ぐとは思ってもいませんでした。先代は病気が発覚してから僅か1年で亡くなってしまったので、当時は本当にドタバタしていました。会社をたたむ選択肢もよぎりましたが、落ち着いて周囲を見渡すと私が大切にしなければならないものが見えたのです。

今までボンズシステムを贔屓にしてくださったお客様、ボンズシステムのために努力してくれていた社員の存在です。自分がやるしかないと思いました。幸いにも顧問としてサポートしてくださる方のご協力により、新米ながらも社長としてやっていくことができています。

人生を変えた先代との出会い

社長に就任して感じるのは、先代の人を惹きつける力です。「先代にはお世話になったから」と声をかけてくださるお客様が今もいらっしゃるので本当に助かっています。思い返せば、私が先代と一緒に仕事をするようになったのも先代の仕事の進め方や人の心を掴んで離さない人柄がきっかけでした。

先代と出会ったのは20半ば。当時の私は新卒で入社したIT系の会社で、技術者として銀行や証券会社のシステム制作を行っていました。私が関わっていたのは、汎用機といって企業の基幹業務システムなどに用いられる大型コンピュータなどのシステムづくりです。

一般の人からは見えない部分であり、ミス無く正常に作動することが成功という世界。重要なものをつくっているというやりがいはありましたが、もう少し目に見える仕事、例えば企業のホームページ制作や業務システムの開発などもやってみたいなという思いもありました。そんな時、あるプロジェクトがきっかけで当時フリーランスで活躍していた先代とたまたま出会うことになるのです。

先代は開発作業員としてプロジェクトに参加していたにも関わらず、いつの間にかプロジェクトのリーダーとして手腕を振るっていました。「この人についていけば学べることがたくさんあるに違いない」。ちょうど先代は私興味を持っていた分野でも仕事をしていると知り、プロジェクト終了後に私は会社を退職し、先代と一緒にフリーランスで仕事を始めました。それから数年後、ボンズシステムを設立することになるのです。

有限会社ボンズシステムの早川真澄社長のインタビュー風景

受け継いだのはスピード感とお客様への姿勢

先代は「会社をつくったからには上場したい!」とずっと言っていました。2代目としてボンズシステムを引き継いだ身として、先代の想いは叶えてあげたいという気持ちがあります。今までは技術者として自分がつくったソフトがお客様の役にたっているか、どうすればもっと改良できるかを考えることが必要でした。

しかし経営者となった今は、営業や経理、資金繰り、採用、マネジメント、事業の方向性決めなど様々な課題に対する意思決定を行わなければいけません。現場と経営。どちらもこなさなければいけないので大変ですが、今も先代の教えは役に立っています。それは「何事もスピード感を持って進める」ということ。

納期よりも早めにお客様に製品を納めると、改良のフィードバックを実行することができます。同時に、「こんなシステムも一緒にできますよ」と依頼されたことプラスαを提案する時間的チャンスも生まれます。

大規模の会社やプロジェクトですと仕様書通りにつくることが求められますが、小規模で融通が利く会社であれば「便利だと思ったのでこんな機能をつけておきました」とちょっとした工夫をすることができ、とてもお客様に喜んで頂けるんです。

お客様からの依頼をこなすだけではなく、依頼内容からお客様の課題や本当に求めていることを予測して技術者として効果的な解決策を提案することを心がけています。「助けて欲しい」と言われたら採算度外視してでも頑張る。そうした姿勢は先代から受け継いだように思います。本当に喜ばれる仕事をすれば、お客様の口コミによってボンズシステムの良さも伝わっていくと思います。お客様とWin-Winの関係を保つのが目標ですね。

経営とものづくりの両立を

今後は規模拡大と商品開発に力を入れていきたいと思っています。今まではお客様の要望に応える製品をその場その場でつくってきましたが、「ボンズシステムと言えばこれ!」といえるような主力製品を生み出したいと思っています。

経営者となった今でもものづくりが好きなので私も開発には関わりたいんですよね(笑)経営との両立は難しいと思いますが、技術者出身ということを強みとして現場の心も理解できる経営者になりたいと思っています。

お話を伺って・・・

小さい頃は職人になりたいと思っていたという早川様。「手に職をつけたい」と言う少し変わった子どもだったそうです(笑)そんなthe職人・技術者タイプの方が経営者になるとどんな道を歩むのでしょうか。「私もまだ見えていないですけど、自分が変わるのか、会社のカラーが変わるのか。どちらにしても楽しみです」と仰る早川様。変化を受け入れ、愚痴をこぼすのではなく、楽しみながら挑戦し続ける姿勢が素敵でした。


有限会社ボンズシステム
http://www.bonds-system.co.jp/